金(ゴールド)の産出量

経済

特徴・用途

金(ゴールド)は、最も代表的な貴金属で、銀・銅と同じく第11族(銅族)の元素からなる金属である。

性質・特徴

色は黄色く、金属光沢をもっている。

化学的に安定しており、酸化や腐食に強い。

電気伝導性や熱伝導性が高い。

展性・延性をもち、利用される。

用途

このような性質から、人類の歴史の古くから富や不滅性の象徴として重んじられ、装飾品・財宝や貨幣として使用され、現在においても投資の対象として重視されている。

また、化学的に非常に安定しながら電気や熱の伝導性をもつ性質から、電子工業・医療・宇宙産業などにおいても使用されている。

産出地

産出地・産出国の特徴

金は主に鉱脈中から産出されるが、そのほか、岩の風化や侵食によって川に沈積した砂金としても得られる。

このような成り立ちから、一般的には火山活動などがある造山帯からの産出が比較的多いといえるが、他の要因も多く、地形だけをもとにして産出国を把握することは難しい。

産出国の上位は、国の面積が大きい、鉱物の開発のための技術が発達している、国家によって鉱物資源の開発が推進されている、といった条件をもっている。

産出国

金の産出量についての公式なデータは2年前のものが最新になっているので、現時点で最新のものとなる2022年のデータを紹介する。

金の産出量 国別ランキング
金の産出の上位10国 地図

1位 中国

中国は2007年に産出量世界1位となり、以後現在まで1位を維持している。

山東省・内モンゴル自治区・福建省・新疆ウイグル自治区など広い地域に金の鉱山があり、開発が進められている。

また、国家も国民も金の生産・保有に対して積極的で、さらに近年は米ドルへの依存を避ける目的もあってか、金の保有量を増やしている。

2位 オーストラリア

19世紀にゴールドラッシュが起こるなど近代から金の産出で知られるが、現在でも多く産出されており、世界で2~3位がつづいている。

19世紀には南東部のニューサウスウェールズ州とビクトリア州で金鉱が発見されたが、現在では他の州でも多く発見されている。

鉄鉱石でも世界1位であるなど金に限らず鉱物資源が豊富で、開発の技術も発達している。

3位 ロシア

ロシアは2005年頃から順位が上がっていき、2010年代半ばには3位に上がり、2位にも迫る勢いを見せている。

主にシベリアや極東などで金の鉱山が開発されている。

ロシアは、鉱物やエネルギーなどの資源に対して国家レベルで開発を推進しており、鉱物では金(3位)のほか、プラチナ(2位)・銀(4位)など貴金属の産出が多い。

4位 カナダ

カナダは近年順位を上げて、2021年には4位に躍り出た。

東部のオンタリオ州やケベック州に金鉱山が多く存在する。

鉱山開発のための技術が発達している。

5位アメリカ

アメリカは2020年頃まで3~4位程度を維持してきたが、近年は産出が減少傾向で、2021年には5位にまで落ちた。

19世紀半ばのカリフォルニアや19世紀末以降のアラスカのゴールドラッシュが有名。

採掘の技術も高度に発達している。

その他

南アフリカはかつては世界トップの産出量だったが、21世紀に入ってから減少して順位も落ちていき、2022年では11位となってトップ10にも入らないところまで落ち込んでいる。

ちなみに、日本は佐渡の金山が有名であるように過去には金が豊富にとれたことで知られるが、現在では鹿児島などわずかな地域でしか採掘できず、生産は減っており、世界で46位となっている。

推移

直近の上位5カ国と南アフリカの、21世紀に入ってからの生産量の推移をまとめた。

上位5カ国と南アフリカの金の産出量の推移(2001~2022年)

この推移をみると、中国・ロシアが生産量を増加させていることが注目される。

カナダ・オーストラリアは2010年頃まではやや減少気味だったが、そこから持ち直して再び安定的な増加がつづいている。

これらの国に対して、南アフリカは大きく減少し、またアメリカもゆるやかながら減少傾向が続いている。

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